移住してみれば。
2015-11-12 04:32:31
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- 無銭移住

臼杵へ移住して半年。
家族5人、何とか喰っている。
朝、目が覚めると真っ先に八町大路の石畳に立って空を見る。
紫の空に草の匂いがする、何とも秋らしい豊かな空気をイッパイに吸い込む。
入れたての珈琲香が店中に漂ってくる。
さて、仕込みを始めよう。
湯を沸かし、野菜を切る。
毎日20kgくらいの野菜を消化する。
素材が良いから気持ちがいい。
土から農民カフェのキッチンまで一直線だ。
店頭に野菜を並べると、近所の年寄りたちが買いにくる。
ひとりひとり話の種を持って、野菜棚の前は寄り合い所となる。
大きなバックパックを背負った外国の観光客が朝飯を食いに店に入る。
珈琲を飲みにくる人、道を訪ねてくる人、様々に賑わう。
さて昼だ。
一気に女性が増える。
団体客が2階へ上がる。
キッチンに皿が並ぶ。
暖まった蒸気で、入口のガラス戸が曇る。
番猫の「えーきち」がベンチで包まって観光客の的となる。
アッと言う間に3時、4時だ。
商店街は相変わらず人影もまばら。
日が傾き始めれば、山は赤みを帯びてくる。
学校帰りのランドセルが揺れる。
「今日のご飯はなあに?」
今日はお客さん沢山来たから「焼き肉パーティー」だ!
子どもたちは「わーい」
今日はあまり来なかったから、店の残り物を頂こう。
農民カフェの惣菜だから、それはそれで身体に良い。
風呂上がり、オレンジの街灯に照らされた八町大路のベンチで湯冷ましのビール。
旨い。
部活動帰りの高校生が自転車で通り過ぎる。
そうして一日が終わる。
何てコトはない。
平凡な一日だ。
ただあるのは、俺たちは移住者で、農民カフェと言う飲食店を開き、その売上で生活していると言う事実。
「移住」につきまとう地域の希望や移住者の望みとは、こう言う事なのではないだろうか?
ひと言、生きている充実度で言えば東京生活とは比べ物にならない豊かさがある。
充分だ。
そしてまた、俺は次の旅支度を始める。
どこに居ようと俺は俺だ。